公認スポーツファーマシスト認定規約

薬剤師 イメージ

第1条(目的)

一般社団法人日本スポーツフェアネス推進機構(以下、「J-Fairness」という。)は、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(以下「JADA」という)と連携し、スポーツにおけるドーピングの防止に加え、広くスポーツを楽しむ人々へのサポートを目的として、「公認スポーツファーマシスト認定制度(以下、「本制度」という。)」を運営し、最新のアンチ・ドーピング規則及びスポーツ薬理学、スポーツ医学、スポーツ科学に関する知識を有する薬剤師を養成する。

第2条(名称)

本制度において認定する資格の名称は、「公認スポーツファーマシスト」とする。

第3条(公認スポーツファーマシストの役割)

公認スポーツファーマシストの役割は、スポーツにおけるアンチ・ドーピング及びスポーツ薬理学、スポーツ医学、スポーツ科学に関する知識や最新の情報を通じて、広く世の中に対し、スポーツの価値やスポーツを通じた健康増進、アンチ・ドーピング活動の必要性、スポーツファーマシストの周知、医薬品の適正使用等の情報を普及、啓発し、広くスポーツを楽しむ人々のウェルビーイングに寄与することである。

第4条(公認スポーツファーマシスト認定対象者)

公認スポーツファーマシストの資格認定の対象者は、本邦における薬剤師免許を有するものとする。

第5条(制度運営)

J-Fairnessは本制度の円滑な運営のためにスポーツファーマシスト事務局(以下、「事務局」という。)を設置する。

第6条(認定委員会)

事務局は、公認スポーツファーマシストの認定を行うためにスポーツファーマシスト認定委員会(以下、「認定委員会」という。)を設置し、JADAは認定委員会に参画する。

第7条(カリキュラム委員会)

事務局は、公認スポーツファーマシストとして必要な知識及び情報を修得するためのカリキュラムの検討を行うために、JADA、一般社団法人臨床スポーツ薬理学推進機構、公益社団法人日本薬剤師会及び有識者と連携しスポーツファーマシストカリキュラム委員会(以下、「カリキュラム委員会」という。)を設置する。

第8条(公認スポーツファーマシストの認定要件)

認定対象者が公認スポーツファーマシストの認定を受けるためには、カリキュラム委員会で策定したカリキュラムに基づき、事務局がシステムを通じて提供するeラーニングによる基礎講習及び実務講習を受講した上で、認定申請を行い、知識到達度確認試験において全ての設問に正答しなければならない。なお、講習の受講及び認定申請にあたり、所定の受講料及び認定料を納めるものとする。

第9条(公認スポーツファーマシストの認定)

認定委員会は、前条で示す認定要件を満たし、公認スポーツファーマシストの資格に相応しいと認められた認定対象者に対し、公認スポーツファーマシストの資格を認定し、認定証を発行する。

第10条(公認スポーツファーマシストの認定期間)

公認スポーツファーマシストの認定期間は、認定の日の属する年度から数えて4年目の年度末までとする。ただし認定期間においては、毎年度実施される実務講習を受講しなければならない。

第11条(公認スポーツファーマシストの資格更新)

公認スポーツファーマシストの資格は更新をすることができる。更新にあたっては、認定期間の4年目にあたる年度において、第8条で示す認定要件を満たすものとする。

第12条(公認スポーツファーマシスト資格の失効)

公認スポーツファーマシストが、毎年度実施される実務講習を受けなかった場合及び認定期間の4年目にあたる年度において更新要件を満たすことができなかった場合は、当該年度の末日において資格を失効する。

第13条(公認スポーツファーマシストの資格の剥奪)

認定者が、スポーツファーマシストのイメージや権利を著しく損なう行為を行った場合、言動、活動に問題があると認定委員会が判断した場合には、その資格を剥奪することがある。

附則

本規約は、「公認スポーツファーマシスト認定及び更新に係る基準」に代わり2025年4月1日から施行する。

(参考)公認スポーツファーマシストとしての活動に関連する法規等

公認スポーツファーマシストとしてアスリート等からの問い合わせを受けた場合、その内容に関する秘密の保持については、公認スポーツファーマシスト基礎講習において、「公益社団法人日本薬剤師会薬剤師行動規範」を提示の上、適切な対応をお願いしています。また、刑法第134条において、薬剤師には「守秘義務」が課されていることは、ご存じの通りです。

特にアスリート等からの問い合わせについては、重要な個人情報となりますので、取り扱いについては、細心の注意をもって対応してください。講習会等で事例として取り上げる場合においては、チームや個人の特定ができないように配慮をしてください。

薬剤師行動規範

薬剤師は、国民の信託により、憲法及び法令に基づき、医療の担い手として、人権の中で最も基本的な生命及び生存に関する権利を守る責務を担っている。この責務の根底には生命への畏敬に基づく倫理が存在し、さらに、医薬品の創製から、供給、適正な使用及びその使用状況の経過観察に至るまでの業務に関わる、確固たる薬(やく)の倫理が求められる。薬剤師が人々の信頼に応え、保健・医療の向上及び福祉の増進を通じて社会に対する責任を全うするために、薬剤師と国民、医療・介護関係者及び社会との関係を明示し、ここに薬剤師行動規範を制定する。

1.任務

薬剤師は、個人の生命、尊厳及び権利を尊重し、医薬品の供給その他薬事衛生業務を適切につかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって人々の健康な生活を確保するものとする。

2.最善努力義務

薬剤師は、常に自らを律し、良心と他者及び社会への愛情をもって保健・医療の向上及び福祉の増進に努め、人々の利益のため職能の最善を尽くす。

3.法令等の遵守

薬剤師は、薬剤師法その他関連法令等を正しく理解するとともに、これらを遵守して職務を遂行する。

4.品位及び信用の維持と向上

薬剤師は、薬剤師法その他関連法令等を正しく理解するとともに、これらを遵守して職務を遂行する。

5.守秘義務

薬剤師は、職務上知り得た患者等の情報を適正に管理し、正当な理由なく漏洩し、又は利用してはならない。

6.患者の自己決定権の尊重

薬剤師は、患者の尊厳と自主性に敬意を払うことによって、その知る権利及び自己決定の権利を尊重して、これを支援する。

7.差別の排除

薬剤師は、人種、ジェンダー、職業、地位、思想・信条及び宗教等によって個人を差別せず、職能倫理と科学的根拠に基づき公正に対応する。

8.生涯研鑽

薬剤師は、生涯にわたり知識と技能の水準を維持及び向上するよう研鑽するとともに、先人の業績に敬意を払い、また後進の育成に努める。

9.学術発展への寄与

薬剤師は、研究や職能の実践を通じて、専門的知識、技術及び社会知の創生と進歩に尽くし、薬学の発展に寄与する。

10.職能の基準の継続的な実践と向上

薬剤師は、薬剤師が果たすべき業務の職能基準を科学的原則や社会制度に基づいて定め、実践、管理、教育及び研究等を通じてその向上を図る。

11.多職種間の連携と協働

薬剤師は、広範にわたる業務を担う薬剤師間の相互協調に努めるとともに、他の医療・介護関係者等と連携、協働して社会に貢献する。

12.医薬品の品質、有効性及び安全性等の確保

薬剤師は、医薬品の創製から、供給、適正な使用及びその使用状況の経過観察に至るまで常に医薬品の品質、有効性及び安全性の確保に努め、また医薬品が適正に使用されるよう、患者等に正確かつ十分な情報提供及び指導を行う。

13.医療及び介護提供体制への貢献

薬剤師は、予防、医療及び介護の各局面において、薬剤師の職能を十分に発揮し、地域や社会が求める医療及び介護提供体制の適正な推進に貢献する。

14. 国民の主体的な健康管理への支援

薬剤師は、国民が自分自身の健康に責任を持ち、個人の意思又は判断のもとに健康を維持、管理するセルフケアを積極的に支援する。

15.医療資源の公正な配分

薬剤師は、利用可能な医療資源に限りがあることや公正性の原則を常に考慮し、個人及び社会に最良の医療を提供する。

刑法

第134条(秘密漏示罪)

医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人、又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。